菜の花プロジェクトみのお 取材レポート

 

 菜の花プロジェクトとは、地域にある資源を地域内で有効的に活かしていく資源循環型の地域づくりを目指す活動です。

 はじまりは、今から40年程前に滋賀県琵琶湖の水質悪化を改善するために行われた、家庭から出る廃食油を回収して石鹸へリサイクルする「せっけん運動」。この運動が、ドイツの「ナタネ油プログラム」という、石油の代わりにナタネ油を燃料化するために菜の花を栽培して、エネルギー供給と農業を関連づけたことに触発を受けて、菜の花の栽培を始め、搾油、油かすを肥料や飼料に使う、廃油を石鹸や軽油代替え燃料にリサイクルするという「地域自立の資源循環サイクル」の形に発展しました。これが「菜の花プロジェクト」となり、資源循環型社会を推進する活動として、全国に広がりました。この活動を行う団体と企業で構成される菜の花プロジェクトネットワークが毎年開催している「菜の花サミット」は全国から約500人が集まる程の大きな規模なのです。

 

 そのネットワークにも属している「菜の花プロジェクトみのお」は、その名のとおり箕面の団体です。2005年に大阪府で第1号の菜の花プロジェクトとして発足し、箕面市内を中心に、休耕地を耕して菜の花を栽培、畑でナタネ油の搾りかすや作物の茎や幹、葉などを再利用した堆肥で無農薬野菜を栽培、保育所や学校などでエネルギー循環のしくみを学ぶ体験学習や、各地でナタネ油搾油体験の催しを行うなど、活発な活動で「持続可能な社会」、「スローライフ」を推進しています。

 

今回の取材では、「菜の花プロジェクトみのお」の畑見学と、代表の神前さんにお話を伺いました。

(「菜の花プロジェクトみのお」の畑)
(「菜の花プロジェクトみのお」の畑)
(夏から秋へと季節の変わり目を迎える農地)
(夏から秋へと季節の変わり目を迎える農地)

 

 箕面市の中央部、住宅やお店、田畑が入り混じるまちなかの一角に菜の花プロジェクトみのおの畑があります。この畑では、およそ20から30種類の作物が多品種少量栽培で育てられています。仕事帰りに水やりをする人、月に数度お手伝いに来る人など、関わり方はそれぞれですが、それぞれがやれる範囲でできる、それがこの活動の魅力のようです。

 

「野菜や草花を手に取り、土と触れ合うことで、何とも言えない心の充足感を得ることができる」この日、お手伝いに来られていた方も、このプロジェクトに関わるやりがいや楽しさを語ってくれました。

(お手伝いに来られていた方。収穫後のプチトマトエリアの整備をする)
(お手伝いに来られていた方。収穫後のプチトマトエリアの整備をする)

 

 心身ともに癒されていくことはスローライフの根本。スローライフとは、ただのんびり過ごすという意味ではありません。心を充実させて精神的な豊かさを持つことが理想のスローライフです。

 

 菜の花プロジェクトが目指す資源循環型社会の構築。この壮大な目標は「総和としての循環が大切」だと神前さんは言います。転作田・休耕田の有効利用、一方通行の使い捨て型ではなく資源循環型社会を創り出していくためには、社会全体を巻き込んだ取り組みが必要です。

しかし、私たちが日々の暮らしのなかで資源の循環を少し意識するだけでも、この目標に近づくことができるのです。

 

菜の花プロジェクトみのおの活動をもっと知りたいという方は、以下のフェイスブック、ホームページをご覧ください。

■フェイスブック

https://www.facebook.com/nanohanaminoh/

■ホームページ

http://nanohana-minoh.com/

 

 

(取材・文:唐﨑翔太/編集:MH)