「ふうせんバレーボール」というスポーツをご存知でしょうか?
直径40cmの風船を使ってするバレーボールなのですが、たかが風船とあなどるなかれ。これが結構エキサイティングなスポーツなのです。しかも、小さなこどもからお年寄り、障がいのある人もそうでない人も、みんな一緒にプレーできるということで、どんなものか興味があり、運動音痴でスポーツはもっぱら見るだけの私ですが、今回の取材では「ふうせんバレーボール」に参加してまいりました。
今回訪れたのは、参加型体験などを通して地域に暮らす多種多様な人たちが自然に交ざりあう土壌づくりの活動を行っている一般社団法人ぐるり。 「ぐるりずむ」という立派なふうせんバレーボールチームがあり、2017年から毎年、大阪大会にも出場されているそうです。
使用するのはバドミントンのコートとネット、そして前述のふうせんボール。ボールの中には重さ調整のためと視覚障害のある人もボールの位置が把握できるように鈴が入っています。1チームは6人。ハンディプレイヤー(高齢者・障害者・幼児等プレーに支障がある選手)とアドバンテージプレイヤー(プレーに支障がない選手)で構成されます。ルールは、全員が必ずボールを触ってパスをつなぎ10回以内で相手コートに返す、その間ひとり2回までボールを触ってもいいけれど連続して触るのは禁止です。ここが結構難しいところで、ふうせんボールは空気抵抗を受けやすく、なかなか思ったところに跳ばない落ちないという動きをします。また車椅子の人や、動きに制限ある人、身長や体格、運動能力も様々な6人が上手にパスをつないでいくには声かけと連携が大事です。
この日の参加者は31人。そのうち初参加が9人。豊中と池田の別のチームの人たちも来られていて、幼児から大人、ド素人と上級者が入り混じるというチーム編成でプレーしました。 「あわわ~」「行き過ぎたっ」「ナイスフォロー!」「上にあげてっ」「上手!」など、コートの中の選手もコートの外の応援者も一緒に声をあげます。レベルの違いやハンディの差も関係なくアタックを打ち込むとか、容赦ないフェイント技なども出てきます。なんと、無回転サーブなる必殺技を打つ人もいました。けれどもボールが風船なので怪我をするほどの衝撃で当たるということがないので安心です。
ふうせんバレーボールは競技性よりもコミュニティ性が高く、パラスポーツ(=障がい者スポーツ)のようにプレーヤーが障がいのある人に限定されないので、年齢、ハンディ、男女、国籍なんかも関係なく誰もが一緒にできる楽しいスポーツでした。一緒にプレーしてると皆と心がひとつになる一体感を感じられ、いちおう得点で勝敗があるけれど勝ち負けは重要ではなく、心の充実感の方が強く残りました。
ところでこの「ふうせんバレーボール」。 日本ふうせんバレーボール協会や全国各地に振興協会もある日本生まれのスポーツで約30年前に北九州で生まれたものだそうです。全国大会が毎年行われるとか、福祉先進国のドイツでもコミュニティスポーツとして取り入れられるなど国内外で広がっているそうです。
「ふうせんバレーボール」に興味のある方、やってみたいなと思われた方は、ぜひ「ぐるりずむ」に参加されてみてはいかがでしょうか。
(取材日:2019/12/14 レポート:HM)