NPO 法人 JSB ニュースクール 取材レポート

 

 インターネットや SNS が普及して便利な世の中になる一方で、人と人がお互いの顔を見て会話する機会が減っています。その影響でシニア世代は閉じこもりがちになったり、子どもたちは他人とのコミュニケーションが苦手なまま大人になってこじらせたりということが起きています。今回はこのような課題の解決に、新聞を活用したユニークな手法で取り組んでいる NPO 法人 JSB ニュースクールを取材してきました。

 

 

 場所は箕面市瀬川にある新聞販売店「あさデイリーサポート」。この販売店と協働するかたちで JSB ニュースクールは活動しています。活動の柱は大きく2つ。一つ目の「しんぶん塾」は新聞を活用して表現力や問題解決能力を養います。週に 1 回の「ジュニアクラス」では、新聞記事について書き写し、要約、スピーチ、クイズ大会、興味のある記事やテーマに沿った記事をスクラップする「まわしよみ新聞」の作成などが行われています。他にもコーヒーショップなど近隣の事業者による講演会を開催し、様々な職業や仕事を知ってもらう場を提供されています。 また、1月から始まった「小論文クラス」では、文章を書く力はもちろん、新聞記事を読み、それに対する自分の意見を表現する力を養います。

 

 

 二つ目はフリースペースの開放です。事業所内の活動教室を小中学生の自習室や地域の交流の場として提供されています。特に高齢の方々には、ゆっくりとお茶を飲みながらおしゃべりしたり、脳トレプリントに取り組んだりできるコミュニティの場となることを目指しています。また、こうした事業所内での活動以外にも、地域の小中学校に対して新聞を使った教材の提供や、コミュニケーション力を育むため新聞を使ったクイズやすごろくを行う出前授業を開催し、好評を得ているそうです。

 

 

 その背景にあるのは 2020 年の教育改革で、入試で時事ニュースの出題、文章量のアップ、記述式問題の導入などがクローズアップされています。また、学習指導要領に新聞の活用を明記するなど新聞の活用が推奨されています。読解力や表現力を養う「しんぶん塾」の取り組みはまさにうってつけではないでしょうか。現状は利用者が少ないなど、認知度向上が課題とのことですが、教育改革の追い風もあり今後の活動に期待大です。地域に密着した新聞販売店とNPO という組み合わせのこのユニークな活動は、地域の学校や事業者とのコラボレーションでさらにおもしろい試みができる可能性を秘めています。

 

 身近な新聞を使っていろいろ勉強してみたい。思考力、表現力を養いたいと思われたなら、ぜひ JSB ニュースクールのホームページをご覧ください。

 

■JSB ニュースクール

http://www.asa-daily.com/newschool/

 

 

(取材日:2020/2/20 レポーター:ST)