箕面市の小野原にある多文化交流センター内にある、comm cafe(以下コムカフェ)に行ってきました。カフェの中は大きな窓から明るい日差しが入り、とてもゆったりとした気分でリラックスできるスペースです。このカフェでは、地域に暮らす外国人シェフが日替りで自国の家庭料理などをランチやカフェメニューで提供しています。
今回は、そのコムカフェを運営協力している「チーム・シカモ(以下シカモ)」が行う、絵本の読み聞かせ学生団体「はぐみん」とのコラボ企画に参加させていただきました。
シカモは地域に暮らす外国人のグループで、メンバーは現在8 人。韓国、ベトナム、タイ、ロシア、イラン、中国、インドと多国籍です。
地域に暮らす外国人の孤独感解消や、日本社会になじむ手助けをしたいという思いからカフェの運営をはじめ、いろいろな国の人や文化の交流を図っています。
今回参加したコラボ企画も草の根での文化交流を目的として、大人を対象に、多言語での絵本読み聞かせから、言葉や文化、習慣、考え方などを理解しあうという主旨のものでした。
ただ、多言語といってもシカモにはこだわりがあって、あえて英語以外の言語にするということです。こだわりの理由をお聞きすると、「日本の社会では外国語は英語さえ分かればいいという風潮があるが、世界には英語以外にもたくさんの言語や文化があります。もっと様々な国についても知ってほしい。国が違っても基本は人と人との関係です。たまたま異なる国の出身というだけであり、国で見ないで個人として人を見てほしい。外国人である前に一人の人間であるという視点を持ってほしい。」と、シカモの代表チェさん。
メンバーの方たちに、シカモの活動の楽しさをお聞きすると、「安心できる」「いろいろな人と話ができる」「元気に暮らせる」「違う国の料理や文化が知れるのが楽しい」と答えられ、コムカフェが大切な居場所となっていることがうかがえました。
また、チェさんは、「国の違いという壁を超えて、幅広い年齢の人といろいろなことを語りあっていきたい。私たちが目指すのは、皆が自分らしく暮らせ、楽しくいられることだ」といいます。
今回の取材から、シカモの活動に対する想いを知ることができました。日本ではグローバル化が進んでいるにもかかわらず、英語以外の言語や欧米以外の国について理解しようとしている人はまだまだ少ないと思います。多言語での絵本の読み聞かせは、その言語を知らなくても、絵と絵本の読み手の声のトーンやリズム、イメージで、その絵本を楽しむこともできますし、いろいろな国の文化にも触れ合うことができます。
日本人は日本語をうまく話せない相手にコミュニケーションを積極的に取ろうとしない傾向があるため、異なる言語、異なる文化をもつ人たちは、日本社会になじむことが難しく孤独を感じることがあるのかもしれません。多文化理解が広がり、相互に心を通わせあえる社会になるには、シカモのような活動を通じて、日本語や英語以外のいろいろな言語、いろいろな国の文化に触れあい、相互に学びあいながら、より多くの人々が理解しあう心を育む必要があると感じました。
この記事を読んで、シカモの活動に関心をもたれた方は、まずはコムカフェを訪れてみてはいかがでしょうか。
(レポート:澤江佑実 2018/8/29)